2021.12.30 劇団四季「オペラ座の怪人」
四季を観るのはほぼ半年ぶり、
オペラ座は1年ぶりの観劇。
☆ファントム 岩城雄太さん
私の中でファントムと言えば佐野正幸さんもしくは高井治さん
あとは学生時代セリフ歌詞すべて暗記するほど聴き込んだCDの山口祐一郎さんや今井清隆さん
ちょうど1年前に観た時のファントムも岩城さんだったけど、その時は本当に本当に驚きました、こんなファントムがいるのかと
高井さんや佐野さんのファントムはスマートというか、コンプレックスをギリギリまで隠しているエリートファントムって感じ
一方で岩城さんは序盤からガンガンにコンプレックス抱えてる感を出してくる
すごく人間らしい、ファントムが今まで生きてきた道が見えるような演技をされている
人によってはもっとクールでかっこいい、ミステリアスなファントムが好きかもしれないけど、
わたしは岩城さんのファントムがとてもとても好き
クリスティーヌを大切に思っていることが伝わってくるし、かと言って変態な感じはしない、本当にひとりの人間としてクリスティーヌを愛しているのが伝わってくる
歌も申し分ない
ちょっと前の四季って、特にオペラ座みたいな演目は藝大揃い!って感じだったけど、だいぶ変わったんですね
歌える人が歌えばいいと思うし、
ファントムって映画版のジェラルド・バトラー然り、ちょっとロックみがあってもおもしろいと思うし
岩城さんはクラシック畑じゃない人には珍しく?変な癖がない、美しい歌い方をされますね
高い音域もきれいで安心して聴けます
ファントムと言えば今回高井治さんがアンサンブルで出演されていて、
パッサリーノやイルムートで不倫される旦那役などをされていました
カーテンコールの笑顔がまぶしかった、、(笑)
山本さんは高校生のときに、笠松はるさんがマリアのウエストサイドストーリーで、
サムウェアを袖で歌う役をされているのを観ました(聴きました)
その後色んなヒロイン役で活躍されているのは存じていましたが、拝見するのはウエストサイドストーリー以来初
だいぶ貫禄のあるクリスティーヌでした
こちらもファントム同じく、人間らしいクリスティーヌ
ぽわぽわ不思議ちゃん、というよりは、
意思のある、良い意味でしたたかなクリスティーヌ
もうこれは本当に好みの問題ですが、私はぽわぽわ不思議ちゃん華奢クリスティーヌが好きなので、
見た目・演技ともに私のイメージのクリスティーヌでは無かったなと
去年お見かけした海沼千明さんのクリスティーヌが見た目・演技ともにとても好みだったので、まあここは本当に個々の好みの差だなと
歌は思ったよりクラシック寄りではなく、高音域以外は意識してかわいらしく(大衆受けするように)歌われてるのかな?と思いました
ひとつ気になったのが、息で演技する箇所が非常に多いこと
セリフに入る前とか、歌のお休み部分とか、
はぁっ、ふぁっ、ふふっ、みたいな吐息?がすごく多くて、
もちろん効果的な部分もたくさんあって
ラウルとの屋上の場面では、初々しいキラキラカップルって感じが伝わってきてとても好印象でした
ただ一方で、そこは意識的に無音にした方が引き立つのでは?というところで息の演技が入るのは気になりました
墓場のソロ曲の最後のところとか
四季いつの間にか音楽・マイクともに爆音になったので、こういう息遣いが良い方向に働くこともありつつ、やはり多すぎると気になってしまいます
ただ歌も演技も安定感があり、なかなか十分な歌い手のいないこの演目を、前から支えてくださっているんだろうなと感じました
個人的にはもっとチャーミングな明るい役で拝見してみたいです
☆ラウル 加藤迪さん
わたし、この演目ラウルが1番難しいんじゃないかって思ってるんですね
クリスティーヌがファントムよりラウルを選ぶ説得感が無きゃいけない、そしてファントムの劣等感を引き出さなきゃいけない
でもラウルの魅力を語れるようなセリフやシーンはほぼ無いし、むしろ正直1人で熱くなっちゃってるちょっと強引なお坊ちゃん、みたいなセリフが多い
ということは、もはや立ってるだけでキラキラ、存在してるだけでファントムと対比になるような魅力がなきゃいけない
要するに見た目勝負
もちろん異論は認めますが、私はラウルは容姿と所作勝負だと思っています
出てきた瞬間から、立っているだけで、キラキラ王子様
その点わたしはそんなラウルを1度も見たことはありません、、
今回の加藤さんも、背は高いですが正直立っているだけでキラキラ王子様かと言われると、、
でもお隣の席に座っていた女子大生の方はオペラグラスでずっと加藤さんを追っていたので、見る方によってはキラキラ王子様なのかもしれないですね、ここはもう好みの問題です
ひとつ心を掴まれたのが、
墓場のシーンでファントムの方にふらふら近づいていっちゃうクリスティーヌに、なぜ?!と問うシーン
なんでかここのラウルにすごく心を掴まれ、苦しくなったんですね
今まで何も思ったことの無いシーンなのですが
これが加藤さんラウルの効果なのか、ファントム・クリスティーヌの効果なのか、相乗効果なのか分かりませんが、
なるほどここのラウルの切なさもなかなか心を打つんだなあと思いました
☆カルロッタ 河村彩さん
いやもう安定のかわいいチャーミングなカルロッタでした
私が高校生の時からずっとカルロッタをされていますから、もうベテランさんですね
声の圧も申し分ないし、何より見た目がかわいい(笑)
☆メグジリー 松尾優さん
☆マダムジリー 木村智秋さん
メグの松尾さんは独特なお声ですね、歌い方も少し平べったい感じ
でも一緒に観た友人はとても声がキレイだったと言っていたので、私の声の好みもだいぶ偏っているのかもしれないです
かわいらしいお顔で雰囲気はメグにぴったりでした、笑顔もとても素敵です
マダムの木村さんは、私のイメージするマダムジリーとは少し違い、勢いのある熱いマダムでした
セリフの勢いがすごいですね、ところどころ発音は気になりました
歌に関しては歌い足りないのかな?という感じ
声量があり、伸ばせるところは伸ばし切る、ビブをかけ切る、という感じ
ここも本当に好みですが、もうちょっと抑え目の、内に何かを秘めているまだマダムジリーの方がわたしは好きです
☆ムッシューフィルマン 平良交一さん
平良さんの良い声が心地良かったです
聴き取りやすいバリトンですね
お2人とも背があり舞台映えします
全体的に気になったのが音響が大きすぎること
オペラ座に限ったことでは無いのですが、最近の四季はガンガン音を響かせてくる印象があります
前からそんな感じでしたっけ、、?
オケはテンポがかっちりハマらなかったり、
金管が弱かったり、ちょっと心許ない印象
あとはセリフがだいぶ熱苦しい感じでした
みんな何か生き急いでるの?って
本当に個人的な見解ですが、
役者が冷静な視点を失ってただ自分の思うままに熱く演技をすることは、ただの自己満に過ぎないと思っています
お客さんを意識しながら、冷静に自分を俯瞰的に見る視点を持って演じないと、観ている側は置いてきぼりにされてしまいます
今回のオペラ座は少し置いてきぼり感があったような、、まあ私がもたもたしすぎて置いてかれているだけかもしれませんが(笑)
でも総じて久しぶりの四季、とても楽しく観させていただきました。
役者、裏方、運営の皆さん、良い舞台をありがとうございました💐